ーTOPへ戻るー
 今年の天気は5月の日照時間はわずか3日。6月に入って梅雨寒の日が多くぱっとしない。
新聞の記事に、今年の天候は享保の凶作の年とよく似ているとある大学の先生の話が載っていた。
享保16年(1731年)の冬より天候不順が続き、17年の梅雨から長雨が約60日間におよび冷夏をもたらした。
害虫の被害も多く、特に西日本一帯において凶作が特にひどく、餓死者は12,000人にも達した(百科事典による)。
現代、食糧事情は大いに多様化され、諸外国から調達出来る時代であり、飢餓に苦しむ――アフリカの飢餓の深刻さを忘れてはならないが――事はないが、最近の野菜類の高騰に多少の実感を覚える程度である。
 
 先日、親しい友人――定年退職後、伊豆に家を建て、水田を借り、野菜を栽培し、正に晴耕雨読を楽しんでおるうらやましい限りの人――から電話をもらった。
今年の作物は如何との問いに「日照不足で育ちが悪い。その上折角の作物が猪や鹿達に食べられてしまいがっかりです。百姓の立場になると天候不順もさることながら、寧ろこの問題の方が深刻です。」との話。この地は山であったところを別荘地に開発された処であり、いわば人間が動物たちの住処に侵入したのである。
そこに、天候の影響で、山の食物も不足、或いは野生動物が増えすぎたのか。本来日本にはいなかった、ハクビシンがたくさんいるとの事を聞くと、後者の野生動物の増えすぎの方であろう今や自然界のバランスが崩れておる証である。
いまや過度の動物愛護を見直す段階にいていると言わざるを得ない。自然保護とはいかに自然の状態を維持していくかが重要であり、その為人が手入れをしてやらねばならないのです。いまや天敵であった狼が絶滅している以上何らかの手入れをしてやることが大切なのです。鹿や猪の間引きをやらなのかとの問いに、「200頭をを駆除する計画があったが、わずか20頭位しか駆除できなっかた。いまや猟師が年を取って体力的に山に入って行ける人がいなくなった。」との事で。

動物との共生は問題山積みである。
問題を整理すると、

1.オオカミの様な天敵の居なくなった地では、大型の草食動物が増えた。日光や北海道の木の樹皮を食餌する鹿の害、東北地方のニホンカモシカ、猿の農作物被害の報告は顕著な例。猛禽類の鳥達が少なくなった都会に於けるカラスの害等。

2.別荘地、ゴルフ場等のリゾート開発による自然環境の破壊。その結果、動物たちの生活地域が人間社会と動物社会との接近となり、人間側から見ると動物の被害増加となった。

3.外来種の増加。ペットであったアライグマ、タイワンリス、タイワンザル等の繁殖による動物密度が上がり、動物たちの食料問題も人間社会へ侵入。小笠原諸島におけるグリーンアノールによる生態系への影響、沖縄諸島におけるマングースによる生態系への影響。

4.過度の動物愛護による動物の増殖。
ということが見えてくる。
一方では絶滅危惧種が増えてきているのも上記と関係が深い。

いまや自然界のバランスが崩れてきている訳で、之を戻すには狼を復活させるか、人間には生物の数をコントロールする力は無いとはいえ、自然に手を貸すと言うより、今までの罪滅ぼしとしても手入れをしてやることが重要である事を、彼の人との会話から改めて思い起こさせられたわけです。
他にも外来種が増えた原因に網を掛け、ペット条項等で飼い主に対する教育強化と罰則規定。最終的には自然保護と動物愛護との問題意識の共有化という事を通じ、自然界のバランスのよい生態系の研究がもっとも重要であると思われるのです。


会長の独り言(その十三)
                          閑話休題