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 養生訓
年一回の仲間の会の総会に参加しました。高校時代からの47年間の付き合い、何時もの事なのに学生時代に戻っての大騒ぎ、外から見れば喧しい爺様の集まりにしか見えません。
いい歳をして飲み、笑い騒ぎ、何の憂いも無きが如き様は、旧き良き友人同士であるがゆえでありましょう。ただ学生時代とおおいに異なるのは話題が結婚しない娘や息子の話や、孫の話、一番の関心ごとは健康の事でまたまた盛り上がります。
人生の後半戦に入り、いかに年をとってゆくべきか、あらためて健康の大切さを思い起こさせるのです。そこで貝原益軒の休養訓を何年ぶりに本棚から引っ張り出し紐解く事にしました。読むにつれ我が身を反省することしきり、かつて昔読んだときと違って、今はなんとひしひしと心に感じる事か、正に現在の己が不健康の証であるかと心密かに恥じ入るのです。
養生訓は全8巻からなり、益軒先生83歳のときの著書であることからして、説得力あり人間のあるべき姿を説いた人生哲学書でもあります。8巻の内、第1巻 総論上、第2巻 総論下、をじっくり読むことが大事で、第3巻以降は各論となります。
総論に曰く、「養生の術は、先ず我が身を損なうものを去るべし。身損なう物は内欲と外邪なり。内欲とは、飲食の欲、好色の欲、言葉をほしいままにする欲と、喜・恕・憂・思・悲・恐・驚の七情の欲を言う。外邪とは、天の四気なり。風・寒・暑・温を言う。内欲をこらえて少なくし、外邪を恐れて防ぐ、これを以って、元気をそこなわず、病なくして天年を永くたもつべし。・・・・・・・・」とまず総括し、さらに心と精神の修養に「先ず、心気を養うべし。心を和にし、気を平らかにし、いかりと欲をおさえ、うれい、思いを少なくし、心を苦しめず、気をそこなわず、是心気を養う要道なり、又、臥す事をこのむべからず、久しき睡り臥せば、気滞りてめぐらず、飲食いまだ消化せざるに、早く臥しねむれば、食気ふさがりてはなはだ元気をそこなう、いましすべし。酒は微酔にのみ、半酣をかぎりとすべし、食は半飯に食いて、充分に満つべからず、酒食ともに限りを定めて、節にこゆべからず・・・・・」とあります。全て我が身に当てはまり、どこかで見られているようで、恥ずかしさで顔が赤くなるばかりです。総括はなるほどと、合点しますが心気を養うところの最後の酒のくだりになると、もう大変、いかに抑えるべきか一大決心すべきかそれが問題だとと悩んでおり、その事事態で気を養うことから離れてしまいます。
筆者の主治医によると、「体重を先ずへらしなさい。それには運動で無理して減らすのではなくて、カロリーを一日300キロカロリー減らせば一月で1キロ減りますよ。」と言われ、この益軒先生のおっしゃる事とぴったり。なんと偉い先生ではありませんか。
之を機に、大先生の弟子になるべき努力しましょう。
医学が発達した現代でも充分通用する教えで、人としての原理原則を教えてくれる書であり、健康についてこの様に書かれたものは日本の古典ではこの本をおいて他に無いのではないでしょうか。一度は読んでおく書だと思います。
総論の始めに「人の身は、父母を本とし、天地を初とす。天地父母のめぐみをうけて生まれ、又養はれたる我が身なれば我私の物にあらず天地の御賜物(みたまもの)、父母の残せる身なればつつしんで養いてこそないやぶらす、天年を良くたもつべし・・・」とあり、本書の精神を著しておりますが、この養生訓の始めだけでも小学生から高校生まで読ませ、いかに生を受け、いかに生をまっとうするかの大切さを分からせることこそ、自己を愛し、他人を愛する尊さがいじめや、自殺を防ぐ一助となるのではないかと思わずにいられません。

教育臨調様よ。お願いしますよ。



会長の独り言(その十九)
                          閑話休題