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  金利

我国の経済はバブル経済崩壊後底知れない不況に突入し、失われた10年といわれました。
この間、公定歩合(現在の名称:基準割引率及び基準貸付利率)は戦後初めての超低金利(1995/9〜
2001/2:0.5%、0.35,0.25%を経て2001/9:0.1%,2006/7:0.4%,2007/2:0.75%)
政策が続いてきましたが、この間やっと大不況から抜け出し、2%成長の時代に入り、現在もっとも長い好況といっております。もっとも庶民は好景気の実感にとおく、このことは、名目成長と実質成長の差が無いと発表された事でも実証済みで、デフレの実態を表しております。
実際、石油をはじめ、エネルギーや鉄、非鉄の原材料の価格高騰は中間製造業者(殆どは零細中小業者)のコストに反映されず、収益を圧迫しているのが現状であります。
しかし14%の大手企業がGDPの多くを占めており、この指標をみて景気のよさを判断するものだから景気が良いとみなされているわけです。しかし日銀は金利を上げる事を命題にしてる感すらあり、ほんらいの景気の実態を見ずして、日銀の意地に掛けても上げたくて仕方が無いのであるように写るのです。
実際長い間金利が低いという事は、金余りをあらわしており   借り手が少ない  、この3年位まえからやっと設備投資需要が蘇ってきてはおりますが、殆どは好景気による増産の為の設備投資というより、バブル以降我慢をかさね、3つの過剰、過剰借入、過剰設備、過剰人員を整理し、財務バランスの改善が見られるようになり、やっと陳腐化した設備の更新に走り出したと言う事で、羹に懲りて過大な投資に慎重で、増産や研究開発の為の投資は、輸出産業や一部自動車、IT産業に見られる程度でであります。
中小企業や、地方の経済は円安を享受出来る訳でもなく、むしろ原材料高に利益を削られ、けして景気が良いわけでありません。
このような状況の中での金利引き上げはするべきことでないと思うのです。
金利政策は本来内需景気が過熱状態になり、資金需要が旺盛になり、インフレが進む中での調整弁であるべきなのですが、現状での引き上げはこの条件に一つも合致しません。また金利の引き上げが、日本のファンダメンタルズに反して、円キャリー取引の影響で円安の状況から、円高誘導の為の金利引き上げなのか分かりません。アメリカのサブプライム問題に端を発し、欧米諸国は公定歩合引き上げを行っており、円キャリー取引も沈静化し円高に向かっており、内外金利差が改善された今、円安の為の利上げ理由もなくなってきております。その事より、サブプライムローン問題が引き金に、アメリカ経済の先行き、引いては日本を始め中国、東南アジアの経済に影響を及ぼすかもしれない状況下で、本来けして良いとはいえない日本経済下での金利引き上げは愚かな行為となるのです。
従いこの利上げ目的は銀行の為としか言わざるを得ません。もともと全体的にはまだ金余りの状況で、積極的資金調達は、中小零細企業では少ないのが現状で、金利を上げても大幅に資金需要が減る訳ではないと思うのですが、問題は現在の借り入れ残の金利が上がることは収益の減少    銀行の収益増    となり、結局は景気の足を引っ張る原因となるのです。

利益を得るのは金融機関だけです。

それでなくても銀行は充分利益を享受しております。護送船団方式が無くなったと喧伝されておりますが、最も寡占が進み、保護の厚い業種なのです。
例えば送金手数料をみても分かるように全銀行はほぼ横並び、しかも不思議なのは、本来銀行の商品はお金であり、その利益が金利の概念です。従い銀行のお金に関わる手数料も我々から見て金利と同意義と思っても良い位です。いま他行へ3万円未満を振り込むとその手数料は525円です。これを金利に直すと一回で1.75%(29,999円の振込み)を意味し、年率で17.5%にもなるのです。消費者金融のグレー金利も真っ青です   消費者金融の利益は貸出金利が主です   。この手数料はデフレもなんのその順調に既得権を堅持しております。けして市場金利と連動していないのです。3万円を預けたとしても年間の金利は1%の程遠く、この手数料がいかに暴利であるか容易に分かると言うものです。企業にとっても、年間の振り込み手数料は無視できない経費負担になっているのです。
一方で電子化が進み、合理化も充実しているはずで、寧ろコストダウンをしてもいいはずなのに、サービスの劣化はしても一向に手数料を安くする気配がありません。
いまだに3時になるとシャッターを閉め、3時以降にしか行けない消費者に冷たいのは銀行だけです。


一般大衆の我々は、郵政民営化によって誕生するであろう新銀行が、この業界に新しい風を入れ、銀行の悪しきカルテルの下の既得権を打開することこそ、民営化の面白さとなることをひたすら祈るばかりです。




おじさんばかりでなく、庶民はおこっているぞー・・・・・
 

会長の独り言(その三十一)
                          閑話休題