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         金メダル


北京オリンピックも当初のチベット問題、新疆ウイグル自治区問題に加え、貧富の差が生み出す社会主義と市場主義(資本主義)体制に対する不満がテロや暴動が多発される懸念の中で、何とか問題なく開催されました。

世界各国の無事オリンピックが開催され、終了する事が一致した願いでありました。

それ程、今や中国は世界に於ける平和と経済に重大な位置を占めるに至っている証なのです。 何かがこの大会で起こることは、再び世界が恐慌と戦争の発振になりかねないと各国は心配しているわけです。 終わってみれば、大成功でとりあえず杞憂に終わってよかたというところです。


中国にとっては世界の大舞台に再び大中華を認めさせる重要な大会であり、国民一丸となっての愛国心の集大成につながる大会です。 まさに国威発揚(ナショナリズム)の最大のチャンスであることは間違いないでしょう。 特に四川省の大地震の後だけに、国民にとっても希望に満ちた明るい祭典は一層奮い起こさせる相応しいタイミングとなった訳です。
全てが開会式のショウに象徴的にそのことが現れておりました。


この大会で、開催国の中国は最高の金メダルを獲得し、従来のアメリカをトップの座から引き摺り下ろしました。 世界の主役交代を暗示する一瞬ではなかったかと思うくらいです。
かつては、アメリカは旧ソ連、東欧社会主義圏とそのメダル獲得競争をしておりましたが、ソ連崩壊と、東欧諸国の自由主義への移行とともに、アメリカはオリンピックに限らす、世界のトップに君臨し、世界の一極化が進んできました。
その平和の中で、政治的にも経済的にも安定した社会では、競争心やハングリー精神に緩みが生じてきても不思議はありません。

反対に中国は近年GDPが二桁をこえる経済成長が自信となり、再び世界の覇権を握るべく、中華思想が随所に見られるようになりました。
オリンピックはこの祭典だけでも覇権を握ることはおおきな意味になります。 北京開催が決まった日から、国民が一点これに注力すべく、ナショナリズムの高揚に、思想教育も徹底されました。 対日感情に見るように変化したのもこの一例です。 
今日この日に向けた、金メダル獲得の為の英才教育も一層拍車がかかり、名誉と報奨金でハングリー精神を発揚していったのです。 またこの間、オリンピックを奇貨とし、国内のインフラ整備に投資を向け、更に産業の育成、外資導入促進と経済の発展に力を傾注したのです。
陰の多くの犠牲を無視してまでその執念はすさまじいくらいです。

そした政府の思惑通り金メダルの数に於いて世界のトップに躍り出したのです。


さて、日本の金メダルはどうだったのでしょうか。

お家芸の柔道も散々で男子2個、女子で2個と前回をはるかに下回っております。 しかも、この4個の金メダルのうち、3個は連覇によるものです。 連覇した選手もその努力と実力には敬意を表します。 また金メダルを取れなかった選手も前回代表であった人達が多かったのですが、これを観ると、世界の実力が均一して上ってきたことも事実ですが、問題はそれに変わる人材が出てこなかったと言う事で、前回から進化は止まったままのようです。
陸上競技もしかりです。 水泳も、新人の成長も見られましたがやはり前回の代表が多くを支えました。
あらゆる競技で世界的レベルはアップしたきたようです。我国に見られるのは、中国のようなナショナリズムに凝り固まっているのではなく、報奨金目当てでもなく、自分の成長を爲とする精神の方が豊かで、執着心より、自分との戦いを心情とする傾向にあり、競技を楽しむ精神はさわやかではあります。
やはり背景にはアメリカの凋落にみるように、平和の中のハングリー精神の衰退と、偏差値教育の弊害があるかもしれません。
今後はやはり若い人の育成に何を規範としていくのか良く考えるべきと思うのです。



      閑話休題

中国は今回オリンピックを成功させ各国から高い評価を得ましたが、今後世界に於ける信頼される国として平和に貢献する大国として良識ある姿勢が大切です。 例えばスーダン、ダルフール問題での中国の姿勢は、「平和を愛する大国」としては世界の批判の的になりました。
またチベット、新疆ウイグル自治区問題等テロや紛争をどう解決していくかが問題です。 環境問題も然でこれら世界の注目されるような諸問題に見識ある姿勢が問われます。 国内の貧富の差の是正と、安定した経済の期待とともにこれ等に期待される答えと結果が出た時こそ本当の「金メダル」国家となると思うのですが。



ところで、日本は、まだまだ「銅メダル」国家ですね。


会長の独り言(その三十八)
                           閑話休題