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       我慢もここまでくるともう切れた。

金の亡者と成り下がったウオール街に天の鉄槌が下された。 日本円換算で100兆円の金融資産が紙くずになろうとしている。

リーマンブラザースの破綻は驚天動地の出来事であった。 1企業だけで63兆円の不良債権は、日本の国家予算の80%のもなろうかと言う数字である。 このあおりでAIGの破綻の脅威にアメリカ政府はすぐ行動を起こし救いなんとか混乱を鎮めた。 
しかし全体としてこれは金融機関全体では100兆円を超えるであろう不良債権があるといわれており、これが世界中に流通しているから始末が悪い金融危機になっている。
日本のバブル経済破壊後の銀行の不良債権はやはり100兆円を超えたものであったが、このときは殆んど日本国内の問題であり、これを解決するのに10年以上の歳月を要したのである。 しかし今回の100兆円はサブプライムローンに端を発する細分化された証券であり、これは国境を越えて世界各地の金融機関の手に渡っており、その実数すら明確に把握されていないところに、各金融機関相互の信用が疑心暗鬼となり金融取引の萎縮となっている。各金融機関はこの不良債権を切り崩す事は資本を毀損することを意味し、自己資本比率8%を下回ることになり、これを改善することは資本の増強か、貸し出しの縮小、回収しかない。 大手10位の金融機関は中東のオイル資本や、ロシア、中国の投資機関から資本を調達出来る可能性があるか、それ以外の金融機関は危機に陥る前貸し渋りをせざるを得ない状況になり、クレジットクランチの状況を生み出し、倒産、人員削減行動、失業者増加となり、経済恐慌になってゆく。
そのためには一刻も早く国は資金を供給し不良証券を買い取ることが大切なのであろうと思うのである。

本来日本の金融危機が良い教訓であったはずである。当時アメリカははじめ、EU諸国は当時対岸の火事くらいに思っていた節があったと記憶する。その証拠に世界各国から日本に手を差し伸べてくれてという記憶がないのだが、このとき日本の政府も手の打ちようが遅れ、結果10年間は苦しんできたのである。この前例を真摯に検証しアメリカ政府は不良証券を買い取ることが急務であろう。
個人的には、我国に於いてもそうであったが、アメリカでも「金拝主義の亡者共め、これぞ神聖なるお金をもてあそんだバチが当たった、ざまを見ろ。」といいたいところで、下院で金融安定化法案を否決した理由も同じ感情であるようだ。又、今回のように大金融機関は原油相場の仕掛け人でもあり、その功罪は計り知れない。しかしそれだからといって、現状を楽観視するの姿勢は世界恐慌を是認するに等しく、あまりにも見識が無さ過ぎる。人類は1930年代の世界恐慌と第二次大戦の教訓を忘れてしまったのか。すぐそこにある危機を回避し、その後しかるべき責任と、原因を究明し、今後の対策を講じるべきであろう。
個人的意見として、そもそもこの危機の発端は、1970年のニクソンショックに端を発するると思っている。即ちあの時ドルと金の兌換を禁止し、金ドル本位制を崩壊させた。
これにより物差しをなくしたドルは市場にゆだねるようになり、変動幅上下の変動幅もなしくずしになった。その後為替も投機の対象になり、金儲けにめっぽう貧欲で悪知恵の働く輩が、デリヴァティヴを考えだし、実物経済からヴァーチャル経済を創り出し、梃子の応用で実体経済の何十倍の資金がお化けになって世界中を駆け巡った。さらに金融商品を含め、あらゆる商品が冬季対象となり、デリヴァティブが実体経済を超えた実力以上の様相えお呈し、第3帝国を築き上げた。その結果従来の経済理論は成り立ちにくくなり、「見えざる神の手」もきかなくなり、制御不可能にしてしまった。この間市場主義が金科玉条のごとく、各国の成り立ちや、文明を無視してこの市場原理主義を押し付け、というより当事者自体これが理想の如くに錯覚した結果我国含め「自由経済の基本は市場主義である」との美名の下、闊歩し、行き着くところ貧富の差が拡大した。ついには金持ちとなった輩は、一層の利を求め、デリヴァティブへのめりこんだのである。
いま、正に資本主義の行き着くところまで来た末期的症状を市場原理主義が作り上げたといっても過言でない。

筆者は決して社会主義者でないが、余りにも節操も無い金杯主義にいまや、資本主義市場が本来の「信義」を重んじる良識ある社会(市場)に戻ってもらいたいだけである。

この一連の連鎖を断ち切るためには、市場に介入し、デリヴァティヴ取引に規制を設け、過度の梃子の作用に歯止めをし、例えば元本の2倍までとか、過去にあった先物取引にみた、買取義務等の歯止めをすることによるリスクの明確性、先物から売りの禁止、原油や食糧のライフラインに係わる商品相場の一定の上下幅、為替の安定システムの再構築等できせいしなくてはならないのでないか。
此れを機に、「国際金融取引監視機関」の設立が促される。

今回の事を見て、人間は何度でも同じ過ちを繰り返し、結果弱者はいつも犠牲者となる。
一般の人達から集めた金が、あっという間に泡となって消え、資本が毀損したといって貸し渋りを行うなんて、中小企業で真面目に国家に貢献しているおじさん達はいま、堪忍袋の尾が切れたのですよ。

責任を取らず、のうのうとしている輩は「悪いやつほど、よく眠る」とはよくいったものである。

会長の独り言(その三十九)
                           閑話休題