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ひでえ世の中になった。マスメディアよ、責任を果たせ。

100年に一度の大不況、と言うより今や恐慌という表現が正しい。
1929年からの世界恐慌をもはや知る人はいない。いたとしても現在健在の人は、その当時子供であったはずで、正確に経験した人はいないのである。経済史に当時の不況の様子を知りえたとしてもそれは実感なく、観念だけの世界であった。原因は欲望の風船がはじけた事であるが、その当時の実体験ない人間には現代の風船が飽和状態にあることが分からなかっただけなのである。そしてこの風船が爆発し、正にこの恐慌の海へ落ち込み、溺れそうになっているのである。
世界中の国も人も。

多分、あの世界恐慌と異なるのは、世界平和の協調体制にあるのが幸いである。かつては恐慌が引き金となって世界大戦へと突入したが、此れだけは避けられる程に国は成長したのである。変わらないのは人の本能で、欲望を通り越した貧欲が魑魅魍魎な風船に乗り、破裂するまで気が付かない。
恐慌の共通するところは、いつも少数の金の亡者の人達にようる錬金術が発端である。
あるときは、チューリップであったり、あるときは金、石油、不動産等で、だんだん悪知恵が働くようになり、最近では情報網が発達し、デリヴァティブと呼ばれる錬金術にまで進化した。実体経済とかけ離れたマネーゲームと化し、少数の頭脳に貧欲というウイルスが、現代では、コンピューターを媒体としてインフルエンザウィルスの如く世界中に拡がった。
そしていつも、この恐慌の犠牲者は投機に縁の無い善良な、人類全体を占める弱者を襲うのである。
そして、国際情報化の世の中、この不況を助長させるのは、マスメディアである。悪い、悪いと悪い事ばかりを強調し、一般弱者はパニック状態に陥り、マイナスのスパイラルに突入して絵しまう。
今回、日本は若干他の欧米先進諸国と異なるのは、幸か不幸か実質の金融被害は、欧米より少なかったことである。その爲、円の信用度が相対的に上昇し、いわゆる円独歩高となった。
しかし、貿易立国の日本としては、為替差損が膨大になったばかりでなく、世界中の国が不況になったところにきて、輸入側から見て相対的に価格が上昇したものだから売れるものがなくなってしまったのである。


そこで、世界中が買ってくれないから、他人を頼りにするより内需拡大にハンドルを切るしかない。その為には暗いニュースばかりでなく、明るいニュースをマスメディアは提供し少しでも内需喚起に協力するべきである。
例えば円高メリットである。2008年9月期には円相場は対ドルで110円〜112円であった。その当時、石油は最高値の150ドル/バレルをつけ、ガソリンは180円になった。鉄鉱石、非鉄金属も大幅な値上がりで昨年後半と比較すると、30%アップはあたりまえ、レアメタルにいたっては数倍になった物もある。しかし現在の対ドル相場は、92〜95円となり、110円時代からすると17%以上アップしているのである。このことは輸入商品が17%安くなっていることを意味する。さらに、原油相場もデリヴァティブ崩壊のあおりで、50ドルまで値下がった分けてある。金属関係もしかり、相当な値下がりとなっている。然るに、ガソリンは3分の1なったのであろうか、輸入品は20%下がったのであろうか、石油に伴う、プラスチック材料は見合った値下げになっているのか。値上げの場合はすぐに反応するのに、値下げは実に緩慢である。人間だから仕方ないかとは済まされない。海外に行くと、その土地の自国通貨も、国際通貨も通用し、かつてEUがそうであったように、国境を自由に行き来し有利な通貨で買い物が出来たわけである。
その点日本は自由化になったとはいえ、国内で一般市民が外国通貨で買うことをしない。このことは、日本が島国であったことと、永年鎖国状態にあったことによる国民の国際化を遅らせた証明であろう。通貨鎖国は一般商店では当たり前となっているわけである。
その意味で、国際的に遥かに遠い。僅かに外国観光旅行は円高のメリットを享受するのみで、国内需要という面では多少迫力ない。韓国旅行の旺盛さは、価格が安くなれば需要がアップするということを物語っている。
本来マスメディアはこういうところにメスをいれ、なぜガソリンが安くならないのか、ディーゼル(軽油)がガソリンと然程値さが無いのはなぜか。源材料がどのくらい安くなったのか、原材料値下げが製造コストにどの位影響したか、省エネのためにディーゼル車の普及はどうか、天然ガス車の普及はどうか、60%の輸入食糧関連は安くなったのか、等々にメスを入れ、世の中の仕組みをただし、供給側に善行を促し、納得の行く価格西、もって国民の購買意欲をもっと喚起すべきである。
此れが国内産業にも影響するはずで景気の浮揚につながる。
これはデフレを喚起しているのではない。
又、オバマ新大統領の70兆円の政策をもっと評価すべきだし、中国の54兆円の財投に期待をし、メリットあるニュースを伝えるべきである。特に54兆円は万里の長城が2つできるくらいの規模で、我国の税収48兆円より大きいわけで、此れが良いほうに影響する事を期待できるのである。暗いニュースにばかり力を要れず、明るいニュースに力を要れ国民が前を向いてゆくように導くべきであろう。
金融面に関しても、今やアメリカの市場原理主義は崩壊し、アメリカ一国主義も崩壊した今、各国は強調しながら、自主独立の精神で国の実情にあったシステムを再構築することが肝心であると思うのである。アメリカの指導の、金融自己査定のあり方、自己資本比率(BIS規制)のあり方の見直し等は、金融界に於ける変わり目のチャンスとなるであろう。
マスメディアがやらなくてはならないことはまだまだある。自主独立の精神なくして国際協調もありえない。今や一国主義が崩壊した。我国ももっと目覚めるべきで、その方向を示唆してゆくのもマスメディアの勤めでないのかと思うこのごろである。



会長の独り言(その四十七)
                          閑話休題