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  新政権に期待する

9月7日付け新聞に、1年ぶりにニューヨークのウオールストリートに活気が戻ってきた。
レストランでは日本円にすると5万円相当のワインが飛ぶように出るそうである。
隣の記事には、ゴールドマンサックスのボーナスが、平均640万円出たそうである。
喜ぶべき現象なのであろうか。
ここウオールストリートに端を発した、世界金融危機は、一部の金の亡者たちによる、金融工学とやらを駆使して、デリヴァティヴ取引を拡大させ、あらゆる債権を証券化し、ミキサーに放り込んだ如くに細かくし、世界中にばら撒いた結果が100年に1度といわれる危機を起こし、世界恐慌に陥れた事に対する反省もないのかと疑いたくなる。あれだけ叩かれてもゾンビの如くよみがえったようである。
実体経済では、政府の財投の効果は多少出てきたと、或いはやっと住宅価格に下げ止まりの兆候が出てきたとはいえ、アメリカの失業者は10%以上あり、まだ改善の兆しには遠いというのに、このウオールストリートのはしゃぎすぎはどういうことであろうか。
彼らは世界的金融危機、経済恐慌の引き金を引いたのが自分たちであることの認識もなく、「金をもうけてなぜ悪い」という、いわば確信犯である。

自由資本主義経済は資本を有効に回転し、利益を生み出すことをよしとするが、自由とは、他人に迷惑をかけても自分がよければよいということではない。自由と義務は一体であり、社会に於いて、経済活動の基本はお互いの信用である。しかし彼らは信用とか、信頼などの概念はまったくなく、在るとしてもコンピューターを信頼し、己を信じているだけなのであろう。

金融サミットG20が開かれ、この議事で、金融危機再発防止のために、金融機関に対する規制が強化されることになった。
提言は、1.自己資本比率の強化
      2.流動性規制の強化
      3.ヘッジファンド規制
      4.格付け機関規制
      5.報酬制度見直し
      6.金融機関に対する監視見直し   などである。
少しは今回の市場原理主義を反省し、規制が必要である事を見直したことには評価できるが、それぞれ数値目標がどうなるかが問題である。また優先順位も問題である。先ずはヘッジファンドの規制を早急に行い、レバレッジ範囲の制限をすることが次の流動性規制にもつながるし、報酬制度につながるであろう。即ち今回の一番の原因は「ヘッジファンドによるデリヴァティヴ取引」が最大の原因であり、「実体経済と大きく乖離した流動性」となった事を規制する事を行えば、他の項目は自然とついてくるとおもうのである。

この提言は、相変わらずのアングロサクソン主導においてなされたもので、我国にとって、重大問題は、「自己資本比率の強化」である。我国は従来BIS規制8%によって、借り入れ依存の大きい中小企業は、この影響を受け、経済は10年以上の不況へ突入したことを思い起こすべきである。
あるジャーナリストによると、この項目はジャパンマネーつぶしと言っているくらいである。
今やアメリカ主導の一国グローバルスタンダードは否定され、多極体制になろうとしているのであるから、各国の習慣、風土にあった対策を独自に講じるべきであり、これだけは素直に受け入れない事である。


新政権になって、先ず多くの国民が期待するのは世界に於ける日本の位置付けと確固たる独立自尊の気概で、主張すべきところは主張することの出来る、いわば、これまでと違う『チェンジ』こそが大切であろう。これについては彼のオバマ大統領も文句あるまい。




会長の独り言(その四十九)
                          閑話休題