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   ワットポー(涅槃寺)

昨年のリーマンショックから一年経った。いまだに世界の経済は回復しておらず、我国に於いてもやっと回復の兆しが見える程度で、いまだ重苦しい状況です。しかし、民主党による政権交代に大いに期待しようと思うのです。
こんな俗世を憂いてもせん無きことと思うと、春に訪れたバンコックの仏像を思い出すのであります。


王宮がある、チャオプラヤー川の傍にワットポーはあります。この寺はバンコックの中で、最大(敷地80,000u)、且つ最古の寺であり、1788年にラーマ1世によって建てられたもので、学問修行の寺であり、古代タイマッサージの発祥の地であります。現在もマッサージスクールがあり、資格の証明書も発行するという、タイ式マッサージの大本山でもあります。また、この寺を有名にしたのはなんといっても黄金の涅槃像でありましょう。
白い塀に囲まれた一画、西側の小さな門をくぐると、すぐに大きな本堂の裏になり、本堂の角の窓かから、黄金の涅槃像の顔が見えます。
この窓自体が額縁そのものであり、この額縁の内に、黄金の仏の顔が描かれているようです。見事に計算された演出に思わず脱帽。気が付かないと通り過ぎそうだが、これは見逃したくありません。


東口から靴を脱ぎ本堂へ入ります。撮影は自由。あまりの大きさ(長さ:46m、高さ:15m)とまばゆい黄金の輝きに圧倒される思いです。現世を優しく見守るような仏の姿が神々しくみえます。この仏の口元は、日本の天平時代にも見られる、アルカイックスマイルがすばらしい。目元は日本の仏像の多くが伏目がちで、はっきり描かれていない像が多いのですが、タイの仏像は伏目がちではあるものの、多くははっきり塗られた目が描かれております。しかし、その目は慈愛に満ちて、どの角度から見ても優しい眼差しを見ることが出来るのです。日本の名工による仏像も魂を吹き込んだ如く生き生きしているのに会いますが、この涅槃仏も全体の姿といい、顔といい、安らぎを与えてくれるのです。


足の裏は黒く真珠貝の象嵌で、バラモン教(古代ヒンヅー経)の真理が描かれているとのことです。バラモン教が仏教徒同化した歴史がありますが、ここにその名残を見ることが出来るわけです。仏教徒の関係が興味深く感じられます。この仏像はラーマ3世によって造られたとのことです。


多分日本の東大寺の大仏もかつては金箔で輝いていたことでありましょう。このタイの涅槃像と東大寺が重なります。東大寺大仏開眼の昔、そのまばゆいばかりの壮大な黄金大仏を目の当たりにした人々は、手を合わせ、何度も叩頭し、涙し、その興奮はいかばかりと、想像できるというものです。
信仰心の大きさイコール仏像の大きさなのでしょうか。或いは、権力の象徴か、どっち??


この仏像の今写真を眺めるとなんと心安らかになることであろうか。
宗教心のない筆者でもこのように思うのは、秋なのか、歳をとったのか、あぁ・・・・


会長の独り言(その五十)
                          閑話休題