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7月11日参議院選挙が終わった。
結果は民主の大敗、自民の復活、みんなの党の躍進であった。
各党のマニフェストを比較してみると、共産党、社民党を除いた各党をミキサーに入れてかき混ぜるときっと良い政策が生まれる事であろう。と言う位、各党の政策は帯びに短し襷に長しと言う事なのであろう。
消費税論を焦点にした戦いであって根本の国をどうするかとのアピールが薄れてしまった感がある。
本来、1.我国の疲弊した経済をいかにして復活させるか。 2.世界に於ける日本の信頼と信用の回復。3.将来の少子高齢化に向けての国民生活の安定。
等が、基本の政策で戦略であるはずであろう。


1に関しては、民主党のグリーンイノヴェーション推進は今後の「エネルギー革命」を意識している。この政策を他の党は挙げていないのが不思議である。地球温暖化に関係する炭酸ガス削減目標は、エネルギー問題と表裏一体であり、環境税、再生エネルギーの全量買取、エコ家電、エコ住宅、電気自動車の援助と具体的に挙げているが、エネルギー開発の施策が不十分である。自民党でエネルギーに関する政策は、「コバルト、ニッケル等のレアーアースや、天然ガス、メタンハイトレードが埋蔵されている報告があり、海洋探査技術の向上等我国周辺に存在する資源の算出向けに施策の展開を行う。」としているのは大いに評価できるが本気にこれを推進するとの意気込みが伝わらない。
エネルギーを意識した施策はこの二党だけであるようだ。この二党の施策を混合したら「将来のエネルギー革命が経済の再生化となる」のであるはずである。環境は逃げず、空洞化にならなず新たな技術が産業を活性化させ内需依存の経済となるのである。其の先は日本の世界的先端を行く原子力発電技術(プリサーマル技術)やエコ対応技術を標準化にしたら、自民党の言う国際基準のイニシアチイブが取れる可能性大となるのではないか。更に付け加えるなら、国民新党の「地域ブロック毎に、国費と郵貯、簡保資金を財源として大型プロジェクトを策定し、5年程度で実現。」と言っているのは今後の郵貯の方向性であろう。世界に冠たえる220兆円の資金の運用にはエネルギー開発やレアアース開発等に投資できるような、特殊政策銀行を考えたら良いと思うのだが。如何であろうか。
グリーンイノベーションとエネルギー開発戦略こそ国家のプロジェクトなのである。
共通した経済の活性化は企業減税を強調している点である。これは戦術の部類。

2に関しては、唯一の被爆国として、核廃絶に向けての訴えをするという点では民主党が勝っており、「東アジア共同体」構想と言う点で世界のリーダーとして立ち上がる気概に評価できるが、具体的に東アジアに於けるパワーバランスの調整役になるとの意識があるのか、その為にアメリカとの戦略的関係を深め、対中国外交、インド外交の重要性、韓国、タイ、インドネシア等との外交によるまとめ役の意識があるのか一貫性に欠け迫力ない。多分外交問題はシークレット部分が大きいが、最近の自民党政権にしても民主党政権にしても、外交のプロが少ない。過去の日本の外交史を検証すると、外務大臣は大使の経験者であった。近年の外務大臣に大使で活躍した人がいたであろうか。
これからの最も重要な中国外交の大使が某商社の元会長を送り込んで外交政治ができるのであろうか。なるほど商社は人脈も情報も多く持っているが、外交官の政治的高度の判断には一抹の不安を禁じえない、軽んじられたとの憤慨より、むしろ中国からは日本には外交のプロがいないと大いに見くびられること必定であろう。
両党での共通認識は国連の常任理事国の席を確保することであるが、現状の世界からみた、短時間に替わる総理大臣はいかにも政治の貧困であり、日本の疲弊した姿そのものであり、とても信頼に足りる国の姿で無い。まして国際社会での信用が揺らぐばかりでこの悲願実現は困難である。自民党が掲げる日本の世界に於ける経済大国ランクの23位からの上位3番以内への復活の目標は先の1の中のダイナミックな政策如何によるのである。その後ろに世界に於ける日本の重要性が認識されるのではないか。

今ここでは、東アジア共同体構想は日本の世界に於けるリーダー国への挑戦宣言である。

3に関しては、これこそ今後の財政問題との係わりがあり、少子高齢化社会に向けての消費税の社会福祉目的税としての大義名分がたとうと言うものである。しかし現状はと言うと、国民は現在の閉塞感は不況の下で、所得の減少、更なる将来に於ける不安であろう。これでは子供を生み育てる意欲がなくなる。これ等をいかにして解決してゆくかが国民の関心ごとである。
これからの日本が世界に伍してゆく為には先ず安定した雇用の確保の実現として、日本に何を残すかを戦略的―具体的にはエコ対応技術―に掲げ、空洞化を少しでも防ぐべく、大手国際企業は国益の面を考えるべきである。其の上で子育て支援、教育の充実、教育援助をすることによって若い人の希望が生まれ、子供を生み育て、又社会に於いて起業のチャンスがうまれるのである。
空洞化した日本の将来に若い人は希望を失っているのが現実ではないのか。民主党の施策は人気取り、ばら撒きと言われても仕方の無いビジョンに欠けているのは確かである。
寧ろ今後の少子高齢化社会に向かういま、若い人が担う責任は大きく、先述の空洞化対策とこれからの日本の技術戦略構想を掲げ、そのうえで希望ある国というものを考える教育、世界に恥じない見識ある人間形成の為の哲学の教育こそ、若い人を成長させ、そこに目的意識が生まれ、国が発展する要素になるのではないだろうか。ひいては日本の産業の発展につながることに期待され、其の先の財政の回復につながってゆくことになるのである・・・と思うのであるが。
高齢者が安心して老後を過ごし、「持続可能な安心できる医療の実現」(自民党政策)の社会を目指し、安心して子供を生み育てる環境創りの財源として消費税を社会福祉目的税とすれば意味あるのではないか。
けして財政赤字の穴埋めを目的にするのではなく、国民に課税すると言う事の重みがある以上、消費税の前に、先ずは各政党の主張通り、無駄を省き、議員削減等は必須であろう。


各政党を詳細に見るとまだ沢山意見があるが、このように大局に於ける政治の姿を見てみると、これ等は各政党の政策を混ぜ合わすと、もっと良くなるというこである。要は、戦略的で明確なビジョンを構築する事こそ日本の実力を世界に問うことができるのである。
坂本竜馬は国というものを考え、当時の混乱期に薩長連合を演出したし、絶えず世界を考えていたことを考えると、今の我国は正に同じ状況にあり、今こそ超党派の連合を模索すべきであろう。
良い時期に『竜馬伝』を放映されたものである。


「温故知新」の実例なり。政治化にかかわらず、企業家、そして次代を担う若者は見るべし。
現代の竜馬よ、起ち上がれ。


会長の独り言(その五十三)
                          閑話休題