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朝日新聞読者欄への68歳の方の寄稿文に、「ある朝、小学生とすれ違い時に、その子供が落し物をした、それを拾って渡そうとしたら、その子は受け取らず逃げていった。多分見知らぬ他人と口をきいてはいけない、と教育されているのであろう。子供たちが人間不信のまま大人になるとしたら悲しい事である。」という様な内容であったと記憶しております。昨今あまりにも多くの幼い子供たちの悲惨な死亡事件が多く、子供を守る為、致仕方ないことでは在ると思います。ただ人間不信になった子供たちがどの様に社会人になって行くのか正に心配なのは同感です。一期一会という言葉は死語となるのでは・・。
旅の楽しみには色々在ります。ある目的を持った旅は人それぞれ楽しみ方が異なるのは当然であります。例えば筆者にとって旅の多くは虫採りを含め自然探訪です。従いその土地の自然の中での色々な動植物との出会いは最も楽しみのひとつです。しかし恐らく旅する人の多くの――人との接触を嫌い、孤独を楽しむ一人旅を除いて――共通点は訪れた土地の食べ物や、人との出会いは一層旅の思い出を豊にさせるものです。

20057月、虫屋(虫が大好きな人達)仲間と採集旅行のタイ・チェンライ行きの飛行機での巡り合いは楽しい思い出の一つとなりました。私達の席のすぐ後ろには、タイの人と思われる親子ずれがおりました。はじめその人達はタイ語を話しておりましたが、機内放送のタイ語を日本語に通訳している少女がおります、振り向くと件の親子ずれで思わず感心したところ、話が進み母親はタイ人で日本人と結婚し、子供達の夏休みに郷帰りの事でした。少女は小学4年生、シッカリ者で母親のまだ十分でない日本語をカバーしております。「自分の郷は果樹園をやっているので良かったら遊びに来て下さい、チョウチョも沢山いますよ。」とのお誘いをお断りするには果物と、チョウチョの魅力には抗し難く、急遽観察予定地変更となりました。本当はこの親子が感じよく、特に少女の親を面倒見る姿に興味をそそられたのかも知れません。次の日チェンライより90km南のパイヤオ(Phyayao)市のメイ・ナ・ルエア(Mae NaRuea)という村へ向かいました。農場では、小学生の年代から167歳の子供達と従業員家族20名位の大歓迎を受けました、彼らは貧しく学校に通えない子供達、或いは孤児だそうで、ここは彼らの養護施設をかねているとのこと、日本語で00ホームと看板が在り日本人も協力しているとのことです。農園は5万坪あり、この時期ロンガン(龍眼)、ランブータン、ドラゴンフルーツ、バナナ、タマリンドがここでの最盛期です。他にはマンゴー、ライチがありますがこれらは3月の果物、マンゴスチン、パパイヤは栽培したばかりで出荷と言うわけではなさそうです。話ですと、ここの収穫したものは市場に出荷し、この施設の運用費の一部に供されるとのことです。この施設はまだ若く充分な収入にはなりませんが、希望に満ちた子供たちの目は、タイの澄んだ青空の様です。沢山の果物をご馳走になり、自らもいだ実は、暑い日差しに照らされ温かいが、そのみずみずしさに感動します。果樹園の中を飛び、或いは色とりどりの花に吸蜜に来る沢山のチョウチョを私達のネットを持った、子供達や従業員は、初めての経験で、これもまた狂喜し、楽しみなかなかネットを返してくれません。大人も子供も自然の中では素直で、無邪気です。採った蝶を持ってきてくれますが、傷物は逃がすよう指導しましたが、いっぱいになりました。果物と昆虫採集の交流のひと時です。ここで一人当たり500バーツ(¥1,500)寄付をし、各人ランブータンの植樹を記念としました。
それにつけても彼の小学生の女の子は立派にタイと日本の橋渡ししており、私達メンバーの名前も覚え、おじさん呼ばわりせず、お客としてきちんと名前を呼んでくれますが、少しも生意気さを感じさせません。学校の事とか、家族の事、夏休みのタイでの過ごし方を楽しく話してくれます、母親のいたらない日本語をよくフォローしております。私達の苗木と共に健やかに育ってほしいと願っております。

一期一会を大切にしたいというものです。

又新しい旅の思い出が出来ました。女の子の名前は中島メイさんです。


    会長の独り言(その六) 
                              閑話休題