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遠交近攻

中国秦の時代、宰相の范睢が唱えた外交政策で、遠国と親しく交わり、後顧の憂いを無くしておいて近隣諸国を攻める政策を採った。

合従連衡

中国戦国時代、縦横家蘇秦の南北6ヶ国が連合して――合従策――強国秦に対抗した。これに対し、蘇秦亡き後、秦の宰相となった張儀は東西に一国ずつ親交を深め、東西に連合する政策――連衡策――を採った。現在では多くの国々(団体)がお互いに複雑に連合し合った形を合従連衡と言うようになった。

歴史は繰り返されるのか、歴史に学んだのか、文明は発展して来たが何千年経っても、人間本来の本能、本質は変わらないらしい。

最近の中国の外交に目立つのは、アメリカとの積極外交の推進、アフリカ諸国、インドネシアや中南米諸国へODAを出し、中国との友好関係を深めることにより、台湾の孤立化を図り、経済的には石油エネルギーの確保、国際政治の場では日本やドイツの安保理国入り阻止を図り、国際的に親中国を増やし、中国の世界における地位の向上を最大の目的にしていると思われる。すなわちこれ等の諸国との関係は遠交近攻策である。世界における地位の向上は、アセアン諸国、NIES諸国のアジア圏で盟主として牛耳ること、即ち覇権を握ることに繋がる。東アジア経済圏構想の推進派であり、集会の場所は北京を提案しているのは正にこの事を示しており、これも中国の春秋時代の故事そのものを見ているようである。やがて強国になり、15世紀初頭、明代の永楽帝による鄭和の大航海が、中華思想の象徴であり宗主国であることの主張であったように、今の中国はなるのであろうか、海軍力の増強を見ているとそのように見えるのである。しかし歴史における帝国は、国内の安定がなされていた。しかるに、現代の中国は内政的には、社会主義国家でありながら資本主義手法のシステムであり、そのこと自体矛盾の極みであり、不安定さを意味する。国内に於ける内外格差、貧富の差はけして安定した社会を形成している訳ではない。汚職は何千年の歴史その物であり少しも変わっていない。歴史に学ぶと、この様な社会において、必ず新興宗教が現れ、暴動が起き、国が崩壊に向かって行くのである。漢代末の五斗米道・黄巾賊の乱、元代末の白蓮教・紅巾賊の乱、清代末の太平天国の乱等が物語っている。してみると現代の法輪功への弾圧、チベット仏教、キリスト教への制限はよく歴史を学んでいる様である。今や世界第一の外貨獲得の国であり、人口も世界第一の国ではあるが実態は張子の虎、砂上の楼閣に等しい、まだかつての大中華帝国の実力には時間がかかる様である。先日のブッシュ大統領と胡錦濤主席の会談に於ける、主席の「米中の二大国は、世界に於ける重要な・・・」と言うに及んでは正に大国意識・中華思想の表れであるが、孫子にある「我を知り、彼を知れば百戦怪しからず」とあるように先ず己を知ることからはじめなくてはならないのであると思うのである。

さて、日本の立場はどうなのであろうか、世界第2位の経済大国ではあるが、エネルギー資源をはじめ鉱物資源に乏しいばかりでなく、食料は殆ど輸入に頼っている国である。人口も減少の一途をたどっており、けして大国ではない、技術等という抽象的な強さは、インドや発展途上国の進歩に脅かされこの先いつまで経済強国と胸を張れるのか。最も重要な人的資源は、学力低下・教育問題となり、世界一の人件費高の国であり将来の存亡が危うい。唯一誇れるのは、軍隊を持たない大国、平和を愛し、戦争を憎む国であること。これを武器に、いままだ力のある内東アジアに於けるリーダーとして名乗りをあげ、ASEAN諸国、オーストラリア・ニュージーランド、NIES諸国と合従連衡して太平洋東アジア圏構築を提案する気迫は無いものか。

連休中、あまりの静寂過ぎて、ろくでもないことを思っていたわけです。これ我侭といいます。

渋滞が無ければ、自然の中で、虫を追い、新緑の山を満喫できるものを、TVや新聞に邪魔をされたみたいです。







  会長の独り言(その十)
                         閑話休題