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アンコール再び――その3−2

Pre Rup

Pre Rup(プレ・ループ)はAngkor Thomの東側20km位、Banteay Sreiへの中間に位置している。

この寺院は紀元961年ラージェンドヴァルマン王によって建てられたヒンズー教寺院である。Angkor Watよりはるかに旧い寺院で、Angkor王朝の初期の寺院のようである、
一段高い中央祠堂からなるピラミット式の様式である。テラライトの城壁が東西87m、南北117mと建物を囲んでいる。遠くから観るとAnkor Watの様というより、この方式が寧ろAngkor Watに受け続けられたのであろう。この中央の祠堂を取り囲み、4つの祠堂の姿は、メール山(須弥山)という世界の中心にあるという神話上の高山で、いわゆるこれが宇宙観となっているようである。全体は確かに山のようであり、ピラミッドの形となっている。
中央祠堂を囲むテラスへかなり急な階段を登る。此処からの眺めは素晴らしく、遠くに広がるジャングルが青々と続き、その先には広大な農地が見渡せる。
又、足元にはこの遺跡を鳥瞰することが出来、崩れた
經蔵や石の天井が落ちた回廊が見渡せる。
この寺院は「魂が還る」という意味の寺で、仏教なら輪廻転生のことであろうか。其の願いをこめてこの時代から死者を火葬にしたいわば火葬場の寺院とガイドが説明してくれる。


テラスの中央部祠堂の前には一対の獅子の像があり、これはAngkkor WatやThomと同じで綺麗に残っている。中央祠堂の偽の扉の両側にデヴァターが彫られているが、長い時間を風雨にさらされ、かなり痛んでいる。しかし、他の寺院には見られないつ以上の顔をもったデヴァターが彫られているのは珍しい。


東門に戻り、改めて振り返って眺めていると寺院の周りは林に囲まれており古代の石の建物の色は、実に良くマッチして小さな寺院にしては堂々としており、Banteay Sreiの平面寺院と比べ、重々しく重量感ある寺院を実感する。


此れより後の時代は、アンコール王朝が豊かになるにしたがって、大きな寺院が建立されてゆくのである。
富と権力の象徴として建築物が大きくなるのは、現代の箱物行政をみてもわかるように世界の東西にかかわらず現代に受け継がれているようである。


人間の本質は古今を通し変わらないのである。


会長の独り言(その四十三)
                          閑話休題